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業務改善のROIを試算する考え方|「工数×時給」で費用対効果を語る

「改善したいのは分かるが、それでいくら得するのか」——社内で改善やAI導入を提案するとき、必ず返ってくる問いです。感覚で「楽になります」と言っても、決裁は通りません。本記事では、実績の数字を持ち出さなくても語れる、ROI試算の考え方と式を整理します。

なぜ試算が必要か

費用対効果を出す目的は、「正確な金額を当てること」ではありません。本当の目的は、改善を“感覚の話”から“判断できる話”に変えることです。試算という共通の物差しがあれば、複数の改善案を同じ土俵で比べられ、「どれから着手するか」を組織として決められます。逆に試算がないと、声の大きい人の好みで優先順位が決まってしまいます。試算は意思決定を仕組み化するための道具です。

「工数×時給」で効果を出す考え方

改善効果の多くは、削減できた時間として現れます。これを金額に翻訳する基本の式はシンプルです。

  • 年間削減効果(円)= 削減できる時間(時間/回)× 実施頻度(回/年)× 担当者の時給(円/時間)
  • ROI(%)= (年間削減効果 − 年間コスト)÷ 年間コスト × 100

ポイントは「率」より先に「式の中身」を社内で合意することです。時給は給与だけでなく社会保険料などを含めた総人件費ベースで置く、頻度は繁忙期の偏りを均すなど、前提を言葉にしておくほど、後で数字を疑われにくくなります。

試算の手順とテンプレ

次の順で1枚にまとめると、そのまま説明資料になります。

  1. 対象業務を1つに絞る(広げすぎない)
  2. 現状の「1回あたりの所要時間」と「年間の実施回数」を書く
  3. 改善後の所要時間を見積もり、差分を出す
  4. 時給を掛けて年間削減効果を出す
  5. 導入・運用にかかる年間コストを引いて、ROIと回収期間を出す

たとえば「1回30分かかる作業を10分にでき、月20回・時給2,500円」なら、削減は0.33時間×20回×12カ月×2,500円=約20万円/年——という試算例になります。これはあくまで式の使い方を示す例で、実績ではありません。自社の数字を当てはめて確かめてください。

注意点

試算は万能ではありません。第一に、削減した時間が別の価値ある仕事に振り向けられて初めて効果が現実になります。空いた時間が放置されれば、紙の上の節約で終わります。第二に、ミス削減・品質向上・属人化解消といった金額化しにくい効果を無理に数字へ押し込まないこと。これらは定性メリットとして併記する方が誠実です。第三に、試算は精密さより前提の透明性が命です。盛った数字は一度疑われると全体の信頼を失います。

まとめ

  • 試算の目的は正確さでなく、改善を「判断できる話」に変えること
  • 基本は「削減時間 × 頻度 × 時給」で効果を金額化し、コストと比べる
  • 前提を明文化し、金額化しにくい効果は定性メリットとして併記する

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